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「静かだ……」
夜明け前の街に人気は無く、スフィアの足音だけが響いていた。
この時間に動き回るような人間は居ない。
夜はヴァンパイアの支配する時間だからだ。
だが、一部の人間であるヴァンピールは違う。
ヴァンパイアを狩ろうと数人でチームを組み、夜の街を徘徊していた。
「私が死ぬのは何時だろうな……」
ヴァンパイアになって、どれだけの時間が過ぎたのか分からない。
気付いた時にはヴァンパイアの戦士として武器を手にしていたのだ。
スフィアはずっと思っていた。
もう、ヴァンパイアでいる事に疲れたのだと。
永遠とも言える命は、自ら絶つ事は出来ない。
だからと言って、戦闘で手加減をする事は出来ない。
それは、ヴァンパイアの性と言えるものだった。
「所詮、呪われた運命か……」
スフィアは口元に笑みを浮かべ、伯爵の待つ屋敷へと向かって行った。
街の片隅に建つ巨大な屋敷。
昼間は人気も無くひっそりとし、夜になると明かりが灯される。
そんな屋敷を人々は不気味に思い、近付く者は居なかった。
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