第一章

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-- 「待ちかねたぞ」 男は門に設置してある監視カメラの映像を見て口を開いた。 そこには街路樹からの光を反射させ、銀色に輝く髪の女が映っていた。 「見えているのだろう?門を開けろ」 スフィアはカメラに視線を向けると、そう言って睨み付ける。 「相変わらず口の悪い女だな。まぁいい。門を開けろ」 そう部下に命令する男は、画面に映るスフィアから視線を外す事はしない。 「間もなく俺の女になる……。外に出られなくなる程に辱めをくれてやるぞ」 怪しげな笑みを口元に浮かべ、男はそう呟いていた。 「スフィア様をお連れしますか?」 部下の1人が男に直立しながらそう言った。 「いや、俺が行く」 男は片手を上げて制すると、部屋から出て行った。 残された部下達は、男の姿が見えなくなった後、お互いの顔を見合った。 中には安堵したかのような表情をする者。 スフィアを哀れむような顔をする者様々で、ただ声を出す者は居ない。 男は現ヴァンパイアの長であり、伯爵の称号を持つ絶対的な存在なのだ。 そんな男に遺を唱える者は居なかった。
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