二◆心々

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何を思うか、何を感じているのか。 小太郎はしばし暗がりの中に立ち、静寂とひんやりとした室内に身を染めていた。 そこへふと響いたのは、入口の戸を叩く音。 静けさの中、唐突に聞こえた音。 しかし小太郎は驚くこともせず、それに応えた。 「狛か、入れ」 「失礼します。……なっ、主君!」 呼ばれて、姿を見せたのは狛。 だが、部屋へ入るなり狛は焦りの声をあげた。 「火もつけずに、風邪をひきます!」 今しがた、冬の夜道を歩いてきたばかりだ。 山深きここはぐんと冷え込む。 体を動かしてきたとはいえ、寒いものは寒い。 狛の声も白い息となって部屋へ消えた。 それだけ、室内は冷えきっている。 狛自身も胴服を羽織りたい気持ちであった。 なのに、そこに佇む主は忍装束のまま。 確かに小太郎のそれも、狛が着ている衣装も冬仕様のものである。綿が織り込まれた忍装束だ。 しかしそれでも、寒さを感じる。 囲炉裏のすぐ側に火種箱を見付け、狛は足早に中へ進んだ。 「火を灯します。囲炉裏にあたってください」 だが、抑揚のない声がそれを制した。
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