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「姫」と呼ぶのは一人しかいない。 彼しかいない。 どうしよう…。 顔を見ることができない…。 さっきの笑いは絶対にヨシだし…。 恥ずかしいところまで見られてしまっていて、よけいに顔が見れない。 「姫、きれいだよ」 一気に顔を見上げた。 やっぱりあたしの知っている「ヨシ」だった。 「旅行で疲れただろ。喫茶店でも入ろうか」 彼の後についていくのはいいんだけど、慣れないハイヒールのせいで、足がうまく動かない。 彼は気づいたらしく、手をさせ出してくれた。 「歩きづらそうだから。 手を貸しましょうか?」 皮肉っぽいところもそのまんま(笑) でも、あたしは素直に彼の手を借りて、喫茶店へと向かった。 って、よく考えたら手つないじゃったよ!!! 気付いた瞬間、顔が真っ赤。 そのあたしに気付いたせいか、ヨシがまた笑いだした。 「ちょっと! 笑いすぎじゃん!」 「姫の姿を見るのが楽しいんだよ」
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