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無言のまま、飲み続けた。
「相変わらず同じ煙草吸ってるんだね」
「よく覚えてるな」
「忘れるわけないじゃん」
彼の煙草は自分のアドレスと同じ煙草。直接メールしてたんだもん。
覚えてるよ。
「あたしも同じの買おうと思ったことあるよ」
「女にはなかなかいないだろ?」
「うん。だから姫はこれなんだけどね」
煙草のケースから取り出したのはヴァージニアスリム。
「姫にはそういう煙草が似合うよ」
「ていうか、姫って案外指が細いんだな」
「そうかな…」
これでも、ネイルして細く見えるようにしただけなんだけど、指が細いってよく言われる。
「昔はもっと細かったんだよ」
「いまでも十分細いよ」
やっと会話が弾んできた。
「ひとつお願いがあるの」
意を決した。
でもどうしても頼みたかった。
「なに?」
「ペアリング…したいな」
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