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エミル
「はい、できたよ。」
エミルに洗面台で体を洗いドライヤーで乾かしてもらった子猫は、機嫌良さそうににゃあと鳴いた。
それから直ぐにラタトスクに近寄ると、構ってくれと言わんばかりに飛び付く。
エミル
「そう言えば…やけにラタトスクに懐いてるよね?」
戯れ付く子猫を適当にあやすラタトスクは、その言葉にほんの一瞬だけ動きを止めてからエミルに視線を向けた。
ラタトスク
「…………知らねぇよ。」
そう呟くと直ぐに子猫に視線を戻してまたあやし始める。
エミルはそんなラタトスクに首を傾げるも、一緒になって子猫を撫でた。
アステル
「あっ!猫ちゃんきれいになったね!」
様子を見に来たアステルがラタトスクに戯れている子猫を覗き込んだ。子猫はそんなアステルを警戒するような眼差しで見ている。
エミル
「……兄さん、もしかして警戒されてる?」
アステル
「……………かもね…」
全く同じ顔を子猫の前に並べて呟く二人。
アステル
「…ほーら、大丈夫だよ?怖くないからね~」
アステルはそろそろと子猫に手を伸ばしてみた。すると子猫はアステルの手から逃げるようにラタトスクの後ろに隠れてしまった。
ラタトスク
「……………誰のせいでもないからな。」
アステル
「……うん………わかってるよ…」
エミル
「兄さん……げ、元気出して!きっとこれから仲良くなれるって!」
子猫に逃げられしょんぼりするアステル。それを慰めようと必死になるエミルと溜め息をつくラタトスクを、子猫はそっと見ていた。
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