降りしきる雨の中で

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子猫がきれいになった所で、きっとお腹も空いているだろうとホットミルクを与えた。ふんふんと匂いを嗅いでからエミル達を見てきたので、(一人を除いて)優しく微笑んでやると子猫は安心したのか勢いよくミルクを飲み始めた。 アステル 「やっぱりお腹ペコペコだったんだ。」 エミル 「うん……でも、これからは毎日ご飯が当たるからね。」 よしよし、とエミルは子猫を撫でてやる。 エミル 「…………そう言えば…名前どうしようか?」 ふとエミルが呟いた。 アステル 「う~ん…ここはやっぱり、一番懐かれてるラタトスクが決めたら?」 少し考える素振りをしたアステルは、ソファの背もたれに寄り掛っているラタトスクへと振った。ラタトスクは「はぁ?」とアステルを見る。 ラタトスク 「何で俺なんだよ?エミルでもいいだろ。」 アステル 「一番懐かれてるからって言ったでしょ?それに、ラタトスクが見付けたらしいしね。」 ニコニコと有無を言わせないような笑みに、不満ながらも反論の言葉が出ない。仕方なく考えるように頬杖をついて子猫をじっと見つめ、 ラタトスク 「…………チビ。」 と、一言溢した。 それを聞いたエミルとアステルは、お互いの顔を見合わせてクスクスと笑いだしてしまった。 ラタトスク 「なっ…なんだよ!悪いかっ!!」 二人が笑うので赤くなった顔で堪らず声を荒げるも、小さな笑い声は止まらない。 アステル 「あはは…!いや…だって、すごく奇抜なのが来るかと思ってたからさ。」 エミル 「うん、僕も思ってた。でも……結構無難でいいんじゃないかな?」 自分はどんな名前を付けると思われていたのかにはあえて触れずに溜め息をつく。そして同意の声も聞こえてきた所でラタトスクの視線は子猫に向いた。 ラタトスク 「………………………チビ」 やや控え目に候補の名前で読んでみると、子猫もラタトスクに視線を合わせて、ミィ、と返事をしたように鳴いた。 エミル 「…この名前が気に入ったみたいだね。それじゃあチビ、これからよろしくね!」 こうして名前も決まり、アステルとエミルは子猫を撫でながら笑い掛けた。二人の視界の外のラタトスクも、やはり嬉しそうに微かに微笑んでいた。
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