五の刻、此処に来た訳

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『どうしよう、会話終わっちゃった!』 少女は焦っていた。 少女が時計塔に来た理由は二つ有る。一つは、端的にいうと家出だった。 家庭では、名門への進学を強要する。 だが少女にはやりたい事があった。 今の学校を卒業したら、時計職人になりたい。 その為に誰かの弟子になって、そして一人前になって、ずっと時計を作っていたい。 少女がもっと幼い頃、時計職人だったおじいちゃんの部屋には、夢が溢れていた。 おじいちゃんが作る時計には優しさがあって、あの手作りの繊細さに憧れた。 私もあんな時計が作りたい。 でも、昨年の二月におじいちゃんは亡くなってしまった。 両親は忘れなさいって言うけど、忘れる事なんて出来ない。 絶対に時計職人になるんだ!…そう思ってたのに、おじいちゃんが亡くなった今、迷いが生じて居た。
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