5人が本棚に入れています
本棚に追加
『どうしよう、会話終わっちゃった!』
少女は焦っていた。
少女が時計塔に来た理由は二つ有る。一つは、端的にいうと家出だった。
家庭では、名門への進学を強要する。
だが少女にはやりたい事があった。
今の学校を卒業したら、時計職人になりたい。
その為に誰かの弟子になって、そして一人前になって、ずっと時計を作っていたい。
少女がもっと幼い頃、時計職人だったおじいちゃんの部屋には、夢が溢れていた。
おじいちゃんが作る時計には優しさがあって、あの手作りの繊細さに憧れた。
私もあんな時計が作りたい。
でも、昨年の二月におじいちゃんは亡くなってしまった。
両親は忘れなさいって言うけど、忘れる事なんて出来ない。
絶対に時計職人になるんだ!…そう思ってたのに、おじいちゃんが亡くなった今、迷いが生じて居た。
最初のコメントを投稿しよう!