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「仲間がね、また隙間に挟まってしまったんだけど。僕は注意したんだよ?危ないから駄目だって。でも仲間は『大丈夫だ問題無い』って言って、言う事を聞いてくれなかった。ねぇジェラード、仲間を助けてくれないかな?僕は心配なんだ」
ギザちゃんはジェラードに何度も体当たりして、床に跳ね返る。
ジェラードは困った様子で両手を胸の位置まで上げ、小首を傾げた。
「分かった、分かったわ。でもね、ちょっと待って!終わったら幾らでも話を聞くから!」
歯車は嬉しそうに床を跳ねる。
「やったぁ!本当!?早くね!急いでね!」
少女は笑う様な表情をする。
「はいはい」
クルッと振り返ると、古時計の下にしゃがんだ。
小さな扉を開け、中の装置を弄る。
扉を閉めて大きな歯車の下に向かい、何やらレバーを弄っていた。
「…よし、これで大丈夫だわ!」
ギリギリと音を立てて歯車が回り出し、定刻の…後二つ残した鐘の音が、大きな音を上げて鳴り出した。
「なぁに、ギザちゃん?仲間は何処に居るの?」
ギザちゃんは待ち兼ねた様子で廊下まで跳ねる。
「こっちだよジェラード!早く来て!」
ジェラードは駆け足でついて行く。
「ギザちゃん、走らないで!ちゃんとついて行くから…」
そう言って少女は部屋の扉をそっと閉め、足音だけを残して行ってしまった。
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