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カチ、カチ、カチ…
秒針の音が響いている。
ジェラードは光りの射す部屋の中の、瓦礫の前で立ち尽くしていた。
そして、漸く口から出た言葉を濁す。
「本当に、挟まってるわね…驚いたわ」
ギザちゃんが床で跳ねる。
「驚いてる場合じゃないよ!早く助けて!」
ジェラードはハッとした様に体を強張らせ、瓦礫の傍にしゃがんだ。
「わ、分かってるわ。ちょっと待って…ね」
ジェラードが瓦礫の山に手を伸ばし、片っ端から漁る。
大きな物置に挟まっている瓦礫を全て取り除くと尻餅をついた。
途端に瓦礫が騒ぎ始める。
「――ギザギザ!遅ぇんだよ!」
「そうだぞ!ギザギザ!」
「え、ええー…」
仲間の心ない発言に、ギザちゃんは落胆している様だ。
「まぁ、皆…ギザちゃんは皆を助ける為に一緒懸命だったよ?怒らないであげて」
歯車達はピタッと静かになり「ジェラードがそう言うなら」と囁いた。
「ジェラードを味方につけるなんて卑怯だぞ!ギザギザ!」
「そうだそうだ!」
またしてもギザちゃんはショックを受けていた。
「味方とかそういうんじゃなくてね…皆お友達でしょ?」
歯車達はまた動きを止める。
そして一斉に跳ね出した。
「うん!そう!友達!ジェラードも友達!ギザギザも…友達!」
ギザちゃんも喜んで跳ねていた。
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