二の刻、歯車達

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「ねえ、アルさんも友達…?」 歯車の一つが囁いた言葉に、周りも連鎖する。 「アルさん?」 「アルさん!」 「アルさんは…」 「しっ!」 歯車が静まり返って視線を集めた先には、ジェラードが肩を震わせていた。 「「あ…」」 歯車達はしまった、といった様に言葉を漏らす。 「ジェラード!!」 ギザちゃんが叫んだが、ジェラードは走って部屋を出て行ってしまった…。 静まり返ったままの部屋に、歯車達がぽつぽつと話し始める。 「あーあ…ジェラードにアルさんの話しはしちゃ駄目だって」 「あーあ」 「駄目って言ったのにー」 「言ったかー?」 「言ってないよー」 「えー?」 「大丈夫かな?」 「お前行って来いよ」 「嫌だよ、お前行って来いよ」 「やだー」 歯車が一つだけ、開いた扉に跳ねて行く。 喧嘩を始めた歯車達を置いて、部屋から飛び出したのはギザちゃんだけだった。
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