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「ここを退院したらわしの家へ来なさい。前の家からかなり離れることになるし、転校することになるが…まあ今の学校ではいろいろと気まずいだろう」
「……………はい、分かりました」
確かに、そのほうがいいのかもしれない。
両親が亡くなった生徒に対し、今まで通りの関わりを持つのは厳しい。
自分との間に壁を感じてしまうだろう。
こちらとしても平然と笑うことなど出来ない。
ならばいっそ、転校をして新たな環境に身を投じれば、他人との付き合いはゼロから始まることになり、事故のことを気にすることは無い。
まあそれは“他人”に対してのみ言えることだが。
「では一旦、ワシは帰るとしよう。君が退院する頃にまた戻って来るからね」
一通り会話し終わり、互いに沈黙が生まれた頃、祖父がそう切り出した。
「そうですか」
「ではまた今度…ああ、そうだ。ワシは仕事の関係上、家にいる事が少ない。連絡もその間は取れなくなるが大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です」
そう返答すると、祖父は最後に笑みを浮かべ病室から出て行った。
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