第一章 目覚め、始まり

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「ここを退院したらわしの家へ来なさい。前の家からかなり離れることになるし、転校することになるが…まあ今の学校ではいろいろと気まずいだろう」 「……………はい、分かりました」 確かに、そのほうがいいのかもしれない。 両親が亡くなった生徒に対し、今まで通りの関わりを持つのは厳しい。 自分との間に壁を感じてしまうだろう。 こちらとしても平然と笑うことなど出来ない。 ならばいっそ、転校をして新たな環境に身を投じれば、他人との付き合いはゼロから始まることになり、事故のことを気にすることは無い。 まあそれは“他人”に対してのみ言えることだが。 「では一旦、ワシは帰るとしよう。君が退院する頃にまた戻って来るからね」 一通り会話し終わり、互いに沈黙が生まれた頃、祖父がそう切り出した。 「そうですか」 「ではまた今度…ああ、そうだ。ワシは仕事の関係上、家にいる事が少ない。連絡もその間は取れなくなるが大丈夫かな?」 「はい、大丈夫です」 そう返答すると、祖父は最後に笑みを浮かべ病室から出て行った。
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