第一章 目覚め、始まり

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「体調はどうだい?1ヶ月もの間、病院に閉じ込めてしまってすまなかった」 「…いえ、気にしないでください」 祖父も仕事が忙しかったのだろう。 若干浮かぶ笑顔に疲れが見える。 「ようやく晴れて退院だがその前に検査があるみたいなんだ。ということで先生、後はよろしくお願いします」 「はい、すぐにすみますので外でお待ちください」 感情が一切籠もっていない声で言葉を返す先生。 それを笑顔で頷き祖父は出て行った。 「………」 静かに、ただ胸に繋がれた機械の音がピッ…ピッ…と部屋に響くだけ。 その音に連動して、液晶に表示された線が動く。 心拍計のようだったが、液晶に二本のグラフがあることから違うのだろう。 かといってこの人とは話したくないし、検査に興味があるわけでもない。 よって重苦しい雰囲気が部屋を包んでいたが、黙っていればすぐ終わるだろうと視線を下に終了を待った。
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