第一章 目覚め、始まり

12/24
前へ
/80ページ
次へ
「変化は無し…か」 病室に突如静かな言葉が洩れる。 それを機に下げていた視線を上げ、先生に面を向けた。 「検査の結果、問題点は無かった。よって今から君に退院の許可を出す」 どうやら何事もなく終了したようだ。 ならもうここにいる意味はない。 上着を来てさっさと外にいる祖父の元へ向かおう。 「今までお世話になりました」 最後に軽くお辞儀を先生にする。 「………」 だが返答は無い。 あるのは相変わらず冷たい視線だけだ。 このまま、ずっとにらめっこのようにしていても仕方ない。 後ろを向き、扉に向かう途中も背中に感じたが、無視して出ていこうとした。 だが、 「これから向かう先は何も無い。未来も希望も。それでも…君は進むのか?」 扉に手をかけた時、冷たい感じはそのまま僕は言葉を投げかけられた。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加