第一章 目覚め、始まり

13/24
前へ
/80ページ
次へ
「えっ…?」 思わず、後ろを振り返り、驚きの言葉が漏れる。 「…………」 述べられた事の真意を問いただしたかったが、それ以上口は動かず、両者の間に再び視線は交差し、沈黙が生まれる。 いつまで均衡が続くのかと懸念したが、意外にも先生の方からそれを破った。 「…いや、今はまだ気にしなくていい。いずれ分かる時が来るだろう」 「いったいそれはどういう…」 「外で待たせている人がいるのではないのか?早く行ったほうが良いだろう」 結局こちらから問いかけても一蹴されてしまった。 どうやら話は終わりなようで、こちらを気にせず機械を片付け始める。 疑問は残るが様子から見てこれ以上取り合ってくれなさそうだ。 ならばと、もう一度軽くお辞儀をして、今度こそ部屋の扉を開ける。 何故、僕に忠告をしたのだろう。 部屋を出て扉を閉める時、頭に過ぎったが、結局これも答えの出ない問い。 心のどこかでわだかまりを感じていたが、すぐさま思考を諦め頭のスミに追いやった。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加