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「わしは黒翔勝時。君の祖父だ」
黒…翔…。
この人が祖父?
ーーーああ、そうだ。
頭の片隅にこの人の記憶が残っている。
小さい頃以来でしばらく会っていなかった。
そして僕の名前、黒翔 聖。(こくしょう あきら)
なぜだろう。
自分の名前すらすぐに思い出せないなんて。
布団をどかして上半身だけ起き上がり、まだ覚醒しない頭を起こそうと軽く頭をふる。
「目は覚めたかい?」
「はい、少しずつですが」
「それは良かった。何せ君は事故のせいで、一週間ほど意識が無かったのだから」
「………。」
全く記憶に無いが、あの先生が言っていたことは事実らしい。
「なら父さんと母さんは…」
「残念ながら即死…だったようだ。わしも自慢の息子夫婦が亡くなったのは悲しい」
いつの間にか祖父の目には涙が浮かんでいた。
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