第一章 目覚め、始まり

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「わしは黒翔勝時。君の祖父だ」 黒…翔…。 この人が祖父? ーーーああ、そうだ。 頭の片隅にこの人の記憶が残っている。 小さい頃以来でしばらく会っていなかった。 そして僕の名前、黒翔 聖。(こくしょう あきら) なぜだろう。 自分の名前すらすぐに思い出せないなんて。 布団をどかして上半身だけ起き上がり、まだ覚醒しない頭を起こそうと軽く頭をふる。 「目は覚めたかい?」 「はい、少しずつですが」 「それは良かった。何せ君は事故のせいで、一週間ほど意識が無かったのだから」 「………。」 全く記憶に無いが、あの先生が言っていたことは事実らしい。 「なら父さんと母さんは…」 「残念ながら即死…だったようだ。わしも自慢の息子夫婦が亡くなったのは悲しい」 いつの間にか祖父の目には涙が浮かんでいた。
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