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朝、起きたのは6時頃か。 一般的に見たら早起きのレベルには達しているとは思うが、別段これを早起きと思った事はないよ。 日課なんだよ。 くどいが、隣の少女にはまったく興味がない。 なのに、俺の体は俺と細雪の間にある邪魔くさいカーテンを取っ払った。 自分でも、なんでそうしたのか分からない。 そうだよ。 分からないんだ。 分からないんだよ。 細雪はまだ寝ていた。 俺が着せてやった上着を着ながら、口を開けて安心したように眠っていた。 頬には涙の跡がくっきりと残っていた。 細雪の寝息が聞こえる。 なんなんだろうな。 俺はそれを聞いて安心したよ。 持ってきた本はあらかた読んでしまったし、中庭でも散歩するか。 別に、散歩が趣味という訳ではない。 何故だか、無性に行きたかったんだ。 何か、大きな力に引き付けられるように―――。
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