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中庭には俺と、名前も知らない少年だけがいた。
同い年くらいか。
別に少年に興味は無いので、無視をして自動販売機に向かい、水を購入。
6月に暖房を点けたせいで発汗して水分を失ったので、一刻も早く水分補給をしたかったんだ。
ペットボトルに口をつけ、ふと横を向く。
桜の木………か。
枯れている。
一切葉がついていないんだから間違い無いはずだが。
なら、何故撤去しないんだ?
気がついた時には、俺は桜の近くまで歩いていた。
美しい?
まさか。
むしろ、気味が悪いよ。
なのに、何だ。
この感覚は、一体何なんだよ。
俺はどうやら病院に来てからおかしくなっているようだ。
こんな枯れかけの桜になど、微塵も興味がないはずだが。
「……………凄い」
なぜ、そんな言葉が出てきたんだろうな。
ただ、凄い。
凄いよ。何もかもが。
よく分からないけど、ね。
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