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■ ■ ■ ■ ■ ■ 苦しい。 息が出来ない。 私は、生まれつき体が弱い。 それに憤慨した両親は、私の事を玩具で遊ぶみたいに虐待した。 寝る所は、埃だらけの押し入れだった。 埃が気管に入って、苦しくて、咳をしたけど、お父さんは『うるさい』って怒鳴って殴ってきた。 だから苦しいけど咳を我慢した。 そしたら余計に苦しくなった。 起きたら、鉄で造られた首輪をはめられて、引っ張ってくる。 それに抵抗したり、苦しんだり、泣いたりするとまた殴ってくる。 食事はいつも腐りかけの残飯で、気持ち悪くて吐いたりもした。 でも吐いたりすると両親が暴力を振るうから我慢した。 家から逃げようとしたりしたけど、何回も失敗して、そのたびに氷水に突っ込まされたり、冬なら窓を開けて、薄着一枚だけで部屋に閉じ込められたり。 とにかく、苦しかった。 私が13歳の時。 近所の人が私の悲鳴に気づいて、警察を呼んだ。 それで、両親は逮捕された。 私は病院に引き取られて、今に至る。 でも両親がつけた傷はあまりに深くて。 治る事なんて、絶対にない。 ………私は、無価値。 私は、無価値。 生きる価値が、ない。 病院ではそんな事ばかり考えていた。 ある日、一人の男の子が、私の隣に入院した。 男の子の目は、どこか淋しくて。 でも絶対に屈せず、世界の事を分かりきっているような感じだった。 その淋しく残酷な瞳と、お父さんか重なった。 思わず、怯えた。 怖かった。 恐かったんだ。 嫌だ……。 そんな事を考えていると、発作が起きた。 ナースコールに手を伸ばそうとしたけど、あまりに苦しくて押す事が出来なかった。 苦しくて。 痛くて。 死にたくなくて。 でも無価値なんだ。 生きる意味が、ないんだ。 私の事を助ける人なんて、絶対に、いない。 誰かが、『大丈夫か』って聞いた。 気がした。
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