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俺の名前は桜木。 苗字が桜木。 名前が想祐。 サクラギソウスケ。 人を大切にする人になりますように、と願いがこめられているらしい。 それを両親から聞いて、内心、『はぁ?』って思った。 想祐。 想う。 ああ、馬鹿馬鹿しい。 馬鹿馬鹿しい事、この上ないね。 親は、子供を大切にする。 当然。……らしい。 俺は両親に大切にしてもらった。 そうか? そういうものなのか? 両親の笑顔が嘘に見える。 嘘。 嘘は、嘘。 両親の笑顔は嘘。 否。 嘘じゃない。 両親は俺を大切にしている。 ああ。 そうだよ。 両親は、俺を大切にしてくれて―――。 そして、ここまで育ったんだもんな。
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