7人が本棚に入れています
本棚に追加
「………げほっ!!」
突然、少女の小さな体が震えた。
咳をして、苦悶の表情を浮かべている。
自分で言うのも正直どうかと思うが、俺は冷酷な性格だ。
悩んでる人、苦しんでる人。
どんな人間を見ても、なにも感じない。
助けようなんて、微塵も思わないんだ。
自分の事くらい、自分でするべきだ。
そんなことを考えながら生きてきた俺は、当然の事ながら他人に迷惑をかけた覚えはない。
残念ながら赤ん坊の時は別だが。
そうだよ。
俺は冷酷非道さ。
助けようなんて、微塵も思わない。
くどいようだが、思わない。
絶対に。
偶然病室が一緒になった少女のことなんて、どうでもいいんだよ。
死んだからってどうとも思わない。
勝手に死ねばいいんだ。
放っておけばいいんだ。
今まで俺は、そうやって生きてきた。
気がついたとき、俺は無我夢中になって、ナースコールを押していた。
彼女の苦しむ顔は、これ以上見たくない。
こんな感情は、初めてだよ。
最初のコメントを投稿しよう!