第一章 意識世界×3つの世界

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「助けていただいたことは本当に 嬉しかったです、ありがとう。 だけどこれ以上は勘弁してください。 僕は現実主義なので、 あんまり信じたくないと言うか、 巻き込まれたくないと言うか… さっきみたいな変なのに追い回されるの 正直、僕はごめん蒙りたいんで……」 自分さえ望まなければ意識の世界に 行く事はない、ならば変に話を聞かず、 認識しなければいいだけの話。 変なのに追い回されることもない。 死ぬ思いもしなくてすむ。 僕は明日のために早く寝たいだけ…… 雅人の意思を聞いた2人は互いに 顔を見合わせて優希は笑った。 「分かった、ごめんね。」 瞬きをした次の瞬間2人はいなかった。 「いったい……何だったんだ?」 ふっと時計を見るとただいまの時刻 1時15分過ぎで部屋の明かりを消し、 寝ようと試みたが寝付けない。 何度も何度も寝返りを打ちながら 嫌でもさっきのでき事を考えしまう。 本当にこれでよかったのだろうかと、 だからと言ってこれ以上関わり また恐怖を再び味わうのはごめんだ。 嫌なはずなのに気になる。 女性に助けられっぱなしは自分の ポリシーに反することではある。 学校でも喧嘩負けなし、いつも、 助ける側なだけに優希さんの 悲しい顔が、笑顔が気になる…。 勿論、現実の優希さんは今日の出来事も 僕の事ですら知らない。 だけど、本当に彼女と関わりが あるのなら…少し話してみたい。 聞いてみたいことがある。 こんな興味本意で近づくのは、 会う場所ですら間違ってるだろう。 ずっと平和なこの日本で生まれ 育った僕にあれほどの戦闘技術や 度胸は備わってはいない。 でも関わった事実が再び彼女に会いたい と願い始めてしまっている。 このままなかったことに出来るのか? もし、また何かの拍子に死神に襲われ、 その時…助けが来なかったらどうなる? パニックになって自分がどこにいたかも分からなくなるようなあんな状態で、 走り逃げ惑うことのできない僕は…… 死ぬ… 考えれば考えるほど深みにはまる雅人は もうやめて寝ようと目を閉じる。 戦いは望まない。 しかし…彼女に会いたい。 逢いたい…。 意識が飛びかかった刹那、 急に何かに引っ張られる感覚になり、 目を開けると優希があろうことか 釣り竿で雅人を釣り上げていた。 「よ、よぅ...」 雅人が手を挙げると、 「あっ釣れた... 兄様(アニサマ)釣れたよ!!人間釣れた!!!!」 優希は子供のように声を上げた。
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