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若い男性が雅人に驚きながら言った。
「戦闘に巻き込まれた奴じゃねぇか、
生きてたか、ラッキーだったな。」
「僕を知ってるんですか?」
「あぁ、優希の奴が悪魔にDellを
挑んだときに助太刀したからな。」
「そうでしたか、あの、ありがとう
ございました。
えっと…あの、ここはいったい……。」
雅人の瞳には涙が光っている。
それを見た優希は雅人を下ろし、
いそいそと針を外し、
にっこり笑って手を差し出した。
「天界へようこそ。」
「へっ?天界?って僕死んだ?」
「死んだら天国、ここは天界。」
雅人の乏しい頭では理解不能、
苦笑を浮かべて笑って誤魔化す。
「天界は天国の上に位置し、
魂だけが訪れられる光の国。
天国は人間界で肉体を失った者が
再び人間として転生できるように
勉強するところだよ。」
とりあえず雅人は握手を交わし、
「じゃ行こう。」
雅人はそのまま手を握られ、
引かれるようにつられて走り出した。
「どこへ?」
「私の家だよ。
父様と母様と挨拶してよ。」
手はギュッと握られ、無理矢理連行
されることになっているのにも関わらず
雅人はどことなく嬉しそうに笑った。
森を抜け
平地を歩き
高い外壁門に囲まれている、街へは
門から入るのだが、その大きさから
言って開けれそうにない。
「どうするんだ?」
「こうするんだよ。開け!!」
足を肩幅に広げ、両手を天にかざし、
めいいっぱい叫んだ。
シ―――ンッ
「じゃなかった。」
「違うのかよ!?」
思いっきり突っ込みをいれる雅人に
舌を見せ、テヘヘッと笑って見せた
優希。
「前はこれで開いてたんだけど、
変えたの忘れてた。」
優希は懐から扇子を広げて口元に当て、
小さく呟く。
「第一能力解放…、」
桜色のオーラを纏い、名を呼ぶ。
「来たれ!!桜!!!!」
桜の花びらが舞うのを確認し、
扇子を閉じると刀のように姿を変えた。
「第二解放……封印を解け!!夏碼!!」
刃の部分から枝が生え、大きな枝の鍵が
できあがり、
「解除!!」
がたんっ
扉の真ん中に鍵穴が現れ、
「力を解放する!!」
鍵を差し込み、回すと…
ドン!!!!!
ギィ………
扉は無事開いた。
「はぁ…、めんどくさいのぅ。」
鍵を抜きひと振りすると、
桜が散り元の扇子となった。
「じゃ、行こうか。」
城下町には店が立ち並び、
そこを抜けた中央に城が建ち誇る。
雅人にすればここはゲームの世界、
成り行きを楽しむように目を輝かせた。
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