第一章 意識世界×3つの世界

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果実が並んだ店の主は優希を 見つけると声をかけてきた。 「やぁ、優希ちゃん、 また外に行ってたのかい?」 「おばさんこんにちは。 兄様と釣り行ってたの。」 2人は近くに駆け寄った。 「何か釣れたかい?」 「ううん、坊主。」 「ならこれ持っていきな。」 「ありがとう。」 小さな紙袋に入れられたりんごを 大事そうに抱えた優希、それから暫く 他愛もない話を続けている間、雅人は 自分のいる場所を360度見渡した。 「すげぇ…。」 甲冑を来て歩いている者、 魔法使いのような者、妖精、エルフ、 ドワーフ、鬼までいる。 「じゃ、また来るね。」 「あぁ、いつでもおいで。」 そして再び歩き出した2人だったが、 また違う店主に声をかけられ、 雑談しては物を貰ってまた歩き出す。 その行動を10回ほど繰り返すと、 ゲーム世界でしかみた事のない。 立派な城につき中へ何の躊躇いもなく ずかずか入って行く優希に手を引かれ 小走りで入る羽目になった。 そこに広がるのは豪邸を超えた造りで 自分ちとの規模が違いに雅人は卒倒 寸前である。 長いレッドカーペットを歩き、 大きい扉を開けられると奥に椅子が 2つ並べられ、その中央でテーブルを 囲み、王様と王妃が兵士と話し合って いるのだが、優希の姿を見つけると 王妃は名を呼んだ。 「優希、皆が探していましたよ。 夕暮れ迄には広場に必ず来てくれと。」 「分かりました、すぐに行きます。 それよりも父様、母様、見てください、 今日はお客様を連れてきたのよ。 人間界で悪魔に追いかけられたのを 私が助けてさっき、お友達なったの。 名前は・・・何だっけ・・・?」 「貴女はまた名をお聞きになる前に 連れてきたのですね。」 「ごめんなさい、じゃ君、 自己紹介をお願い。」 お友だちになった覚えなどなかった 雅人だったが、ここまで着いて来て しまったからにはと腹をくくった。
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