第一章 意識世界×3つの世界

15/75
前へ
/117ページ
次へ
「初代の神は妻をお許しにはならず、 牢に入ることを命じられました。 しかし、あれから5000年と言う長い 月日を過ごしたある日、今のお方が 神と呼ばれるようになると牢から出て エバと共にエデンに住み、ここに 来る人々のお世話を任せられました。」 王の説明は雅人の認識と外れていて 困惑な表情を浮かべた。 「神は全愛を示す方。」 王妃は雅人から離れ王の横に立ち、 言葉を続けた。 「今の神は、どんな罪もお許しになり、 罰を受け苦しみ悲しめば、共に苦しみ 悲しんでくださる。 私のした事は神への最大の裏切り…… 毎日のように後悔していまりました。 罪をおかせば、それ相応の罰を受け、 それにより死が訪れたとしても、 自業自得と言う言葉で終わらせずに、 泣いてくださる…」 2人は寄り添い、名を口にした。 「そのお方こそ、私達が信仰し、 お仕えするお方。」 「我等を闇からお守りくださる。」 「「その方の名をゼウス、全愛なる神。」」 とても幸せそうな2人の姿にその話の 信憑性に戸惑う。 雅人が知る神の名はゼウスではなく エホバ、しかもアダムは死に、エバは 散りになったと聖書を通じて知っている だけに幸せそうな笑顔にさえ疑いの色は 隠せない。 ゼウス… ゲームや小説のなかで絶対的な存在と 評されているその名は、エデンに住む 人達にとっても絶対な存在の他ない。 では雅人がゲームの世界で学んだことは 誰がどうやって知りゲームとして作り その認識を広めようとしたのか…。 平常心を保ちながら頭をフル回転 させていると、先程とは違う白の 甲冑を来た兵士が勢いよく入ってきて 「王!!戦の準備が整いました。」 皆、右膝をつき頭を垂れた。 「では各自、門の前で警備せよ!!」 「はっ。」 言葉を返すとその瞬間姿が消え、 「我等救護班も戦闘準備が整いました。」 また再び違う人たちが来ては 同じ行動をとる。 「街中心部に行き指示を待て。」 「はっ。」 次々立ち代わり入れ替わり兵隊が 訪れては王が指示を出していく。 「ルシア隊も緊急配備せよ!! 悪魔なんぞにエデンを汚させるな!!」 「ARRKの名において必ずや。」 黒尽くめの集団が影から現れたかと 思うとすぐに消えた。 その光景に恐怖を感じずにいられない。 何が今から起きるのか想像がつかない。 しかもこのただらなぬ雰囲気に雅人は 完全に呑まれていた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加