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あんなに急ぐ理由とは。
また人間界で戦うのだろうか、
ん?壊れた建物は!?
巻き込まれた人はどうなる?
今宵起こった事の疑問点が集結し、
雅人なりに行き着く先の絶望的な答え。
町は崩壊し、人々は悶え苦しみながら
助けを求める…誰が見方なのかも
分からない状況で……。
雅人は息を飲んだ。
やばい...何とかしなければ...
「戦に…なるんですか?」
王様に聞くと苦い顔をした。
「貴方が釣られここに来たのなら
人間界と天界を繋ぐ道が開けて
いる可能性が高い。
最悪の場合、人間界に転送するが、
なんせ今宵は戦は避けれまい。」
「人間界で戦うのって止めれませんか?」
「悪魔がどこに出没すかによるの。」
「そう…ですか…。」
この状況下で雅人にできることなど、
精々城で怯えるしかない。
そんな不甲斐ない自分を変えたいと
思っている雅人は下唇を噛み、汗ばむ
手を拳に変えて、静かに目を閉じる。
今から自分が口に出そうとしている
言葉は現実主義者の自分を否定する、
恐怖と葛藤を繰り返し、ゆっくり
目を開けた。
「僕にも手伝わせてください。」
「では貴方は優希と共に行きなさい。
広場はここから西に行った所にあり、
町の方とお話になっていると思います。
しかし、悪魔はチンピラとは違い、
一筋縄ではいきません。
最悪、命を落としますよ?
そこまでの度胸はおありですか?」
笑っていた王妃は雅人の言葉で
表情を強ばらせて雅人に浴びせた
恐怖と言う名のプレッシャーは、
胸の奥を貫く。
その痛みに耐えるかのように
表情を歪ませた雅人だったが、
友達や家族を守りたい一心で
小さくうなずいた。
決意を受け取った王妃は声色を変え、
背を撫でながらまるで幼い子に
言い聞かせるように説明を始める。
「我々や悪魔の姿が見えている事が
貴方が生きてた17年の中で一番の
問題と言えるでしょう。
我々と魔界との戦いは長きに渡るもの。
けして人間に知られることなく、
知らない間に決着をつけることが
我々の目的でもありました。
しかし近年では多くの人間が
気づき始め興味半分で関わりを持った。
その結果、種族の間で保たれていた
調和が乱されてしまい今では収集が
つかなくなっています。
なのに人間達は悪魔の囁きに耳を傾け、
我らの世界を意識世界と呼び、夢だと
疑わずに現実でも死んでゆくのに…
今もなお楽しんでいらっしゃる。」
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