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「僕は....っ...」
雅人の頭の中に流れ込んでくる風景、
広場の上空を飛ぶ黒い翼を持つ者。
その光景に目を見開き王に聞く、
「さっきの兵士は今どこに!?」
「正門に収集をかけてある。」
「そこじゃねぇ、あいつは……
黒羽は間違いなく上空にいる!!」
多分広場だと思えた場所は先程話が
出てきた優希が行っているはずの場所、
それに彼女だけではなく街の皆も危険。
「行ってきます。」
「どこにいくのです!?」
「今は時間ないんで失礼します。」
一礼して王室を飛び出し西に向かう。
街を駆け抜け広場を探した。
城下町は雅人が思っているよりも
遥かに広く複雑な道なり。
走っても間に合う保証は存在しない。
だけど止まる訳にもいかず痛みが増す
頭を頼りにひたすら目的地を目指す。
「いた!!!!!」
ってか僕...視力おかしいよね?
あれ...見えてるよ...?
ふっと見上げた雅人の目に飛び込んで
来た悪魔の化身に身震いを起こす。
雅人の視力は両目とも2.0。
通常なら米粒ぐらいにか見えないはずの
黒い者が今では拡大され顔の表情まで
鮮明に読み取れてしまっている。
その悪魔は人間の姿はしておらず、
闇を食らった獣が牙をむき出しにし、
恐怖を産み出す為だけに送り込まれた
来たデーモン…
みんなが気づかないうちに
何とかしなければ……
「とりあえずあれを打ち落とすには
弓か銃か槍か...」
周りを見渡せば住宅街。
こうやって改めて見れば、
フランスと町並みが似ている。
違うところと言えば、武装した人達が
町中を歩き、人々は物を売っていると
言うよりあげていると言う方が正しい。
そんな悠長など考えている暇はない
はずが、夢だと思っているだけに
僅かな余裕が芽生えていた。
平和な町並み…もしかしたら日本より
住みやすく、争いもないように見えて、
こんな素晴らしい所を上空から襲う
なんて絶対に許せない。
その余裕が新たな怒りを生んだ。
雅人は羽を持っていない事から
空中戦は不可能。
ならば撃ち落とすしかない。
雅人は走りながら周りを見渡し、
レンガ造りの小さな武器屋に入り
飛び道具を探した。
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