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自分を守ってくれたのは白い羽の生えた
人型の若い女性、まるで天使のようだ。
しかし、天使と思う割にはその顔に
見覚えがあるが思い出せずに自分が
置かれた状況を見失いかける。
「くっ…。」
雅人に振り降ろされた筈の鎌の刃を
止めている扇子はギリギリと音を発て、
天使がゆっくり押され始めた。
「貴女はいったい!?」
「ごめんね、答えてる暇ないの。
貴方人間ね?間に合ってよかった。
早く自分のいたはずの場所を
イメージして...早く!!!」
自分のいたはず場所?
そんなことをいきなり言われても、
雅人の思考回路は爆発寸前。
僕は確か家に帰ってご飯食べて
風呂に入った...
だけど、今、助かる為にできることが
それしか浮かばず1つ1つ自分の行動を
思い返し、雅人は思わず声を上げた。
「あ、そっか僕は今ベット寝てる。」
思い出した刹那、普段見えないはずの
意識の中心から目映い光が雅人を襲う。
目の前が真っ白になり、目を閉じやり
過ごすと布団から雅人は飛び起きた。
ハァ……ハァ…ハァ……ハァ…
あまりの悪夢に魘され息があがる。
辺りを見渡せば確かにそこは自分の家、
自分の部屋だった。
それにしてもリアルだったな…
痛みとかすごかったし
何ともないよな...?
大ざっぱに身体を確認する雅人の
目に飛び込んできたのは…
「あれ?」
さっき夢だと思いたい場所で擦りむいた
足は寝る前にはなかったはずの傷跡と
なり、少し赤みを帯びていた。
背筋からゾッとした感覚が眠いはずの
目を覚まさせる。
あれは夢ではなく、学校で今噂の意識
世界だったのだと実感せざるを得なく
なってしまったのだ。
意識世界。
誰が言い出したかも分からないような
何も実証のないただのおとぎ話。
昔々、ある所に、全てを創造する事の
出来る神様が居りました。
ある日神はエデンの園と言う楽園に
アダムとエバを産み出した。
地球に生息する動物の世話をさせ、
子孫を残すと言う使命と義務を与えた。
そして神はこう仰った。
「知恵の木の実は食べてはいけない。
あの木の実を食べれば貴方達は
死ぬだろう。」と。
アダムとエバも快く了承した。
何故ならば食べ物にも、綺麗な水にも、
何一つ不自由だと感じた事は今まで
一度もなかったからだ。
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