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その戦いは本来ならば人間の知らぬ
ところで行われていた。
肉体は霊体の姿を見えなくする道具と
して神が与えたもの。
下らぬ戦いに人間まで無駄な血を流すな
との思いが見事に打ち砕かれたのは、
ここ最近の話。
肉体が睡眠状態に入った際、稀に…
けして肉体から離れることのない魂が
勝手に力の解放を行い、天使や悪魔と
同じ目や力を持つ者が現れ始めた。
そして今までは夢として片付けられて
来たこの話すらも、今となっては
意識世界と呼ばれ望んで行ってみたいと
思い、力を解放し、悪魔に見つかり
処刑される、もしくは天使と共に天界へ
行き、楽しい夢を見る者が増え続けた。
雅人もまた、意識世界の話をクラス
メイトから昼休みに聞かされ
少なからず興味を抱いたところだった。
「あの子…大丈夫かな?」
いざ落ち着いてみれば、助けてもらって
おきながら礼の1つも言わなかったのが
気がかりで思わず溢した言葉は
「呼んだ?」
「はい、ん?
え―――――――っ!!!!!」
先程自分を助けてくれた天使を
自分の意識の中に取り込んでしまう
結果となってしまったのだった。
「ヤッホー。」
「だ、誰だよ!!不法侵入だぞ!!」
急な出来事に落ち着いていたはずの
脳細胞が一気に活性化してしまい
堪らず雅人が大きな声を出すと、
天使はムッと怒った表情に変わり
懐からさっきまで悪魔と殺りあったで
あろう扇子を取り出した。
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