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そうなんだ?
ありがとう?
また新しい疑問を生み頭の中に渦巻く。
「まさかファンの子に会えるなんて。」
どこか嬉しそうに笑う彼女、
その笑顔は写真の優希と瓜二つ。
「よくライブ行くんです。
後ろにあるコルクボードにある写真も
コンサートの終わりに一緒に撮って
もらった写真なんです。」
雅人が写真に人差し指を向けると
天使も振り返り写真を見た。
「あぁ!!これ大阪でのライブの時に
撮ったやつだね。」
「えぇ…まぁ…。」
「そっか…でも残念だな…
私、起きたら覚えてないんだよね…。」
悲しそうに笑う天使の表情に、
また新たな疑問が増える。
起きたら覚えてないってどう言う意味?
ってか、やっぱり本人!?
何がどうあれ、今自分の前にいる者は
彼女と瓜二つ。
そこに運命を感じてしまった雅人は
汗をズボンで拭き手を差し出した。
「あ、あの、握手してください。」
例え幻でも夢でも、優希さんが天使の
コスプレを見たと思えば何とか頭を
整理できると笑みをこぼす。
雅人の行動に天使はキョトンとしながら
微笑む目の前の彼の手に自分の手を
重ねた。
「今の私としても価値ないよ?」
「気にしないでください。
ただの自己満足なだけですから。」
「じゃ今度は価値の有るものとして、
次に貴方がCDを買ってくれた時、
私達との撮影会特別券入れとくね。」
マジで!?
それはムッチャ嬉しい…けども…。
「そんなことを出来るんですか…?」
百面相の雅人を見て優希は
クスッと笑った。
「それ相応の対価を神に払えば、
願いを聞いてくれるよ。」
はっ?神?
いやいやそれはあまりにも痛い子の
発言でしょうに。
当然のような言われように、大変失礼な
言葉が瞬時に脳内を横切り、雅人の顔は
戸惑いを浮かべ、
「信じてないでしょ!?」
さらに図星をつかれ、
「えっ…まぁ…。」
「神様はいるよ!!」
立ち上がり声を張る天使に撃沈し、
完全に俯いてしまう雅人。
だからってなんだって言うのだ、
信じるも信じないも自分の勝手、
是非ともほっといて欲しい。
やはり心に思えど口に出せない雅人は
ギュッと拳を作った。
「でもまぁ…信じてくれなくても
いいけどさ、慣れちゃったし。
どうせ君も私に会ったのも夢や幻と
重ねて納得してる口でしょうし。」
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