道 標
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「じゃあな、チビ」 「あたし、“チビ”じゃない」 すっかり涙の渇いた瞳に凛々しい光を湛えた少女が、立ち上がりながら力強い声を放った。 「“蒼真 流風(ソウマ ルカ)”だよ」 「判ったよ、チビ――」 飯泉は思っていた。 この名前も、今日の河原での出来事も、自分の中で想い出に変わる事はないだろう……と。 時間(トキ)が経てばすぐに忘れる、ありきたりの日常と同じだ……と――……
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