掌の希望

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  ――6年後、少女は野球の名門湘南高校の門をくぐっていた。 河原で出逢った青年が甲子園へと導いた、この名門校の門を――…… あれから、流風は血の滲む努力を重ねた。 毎日、砂浜を走って下半身を鍛え、チューブトレーニングで肩を鍛えた。 男子と同等の練習では追いつけないと判っていたから、彼女は少なくともその3倍、練習に励んだ。 甲子園に行けない事実が変えられなくても……チームメイトに『女のくせに』と思われたまま終わりにしたくない―― 小さな胸に芽生えた矜恃(プライド)が、彼女を強くさせた。 何も“野球”を取り上げられた訳ではない――と……  
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