憬れの場所

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  ――憬れの地は遠い。 毎年その季節になると、全国で何千という学校が“聖地”を目指して闘い、何万という球児たちが夢破れて肩を落とす。 激戦を勝ち抜いたほんのひと握りの選手だけに拓かれる“阪神甲子園球場”は、野球に携わるすべての人間にとって至高の存在に違いなかった。 彼女の父親もまた、“甲子園”という魔物に魅せられた人間のひとりであった。  
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