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カーテン越しに聞こえた声は保険医にしては少し幼く感じた。
「澪ちゃん!」
シャーとカーテンが開いた。
「…佳奈。なんでここが」
「何年澪ちゃんといると思ってるのよ~。行動パターンはわかるよ♪」
佳奈はえへへと笑いながらピースする。
「アイツ、帰った?」
澪は小さく問い掛けた。
佳奈は聞こえていたが、意地悪にもう一度聞き返す。
「え?なになに?ごめん聞いてなかったよ。もう一回言って!」
澪は少し佳奈に近付きまた小さく言った。
「齋木陽亮…帰った?」
「陽亮君?…うん確かもう帰ってたと思うよ~。なんで?気になる?」
「えっ?!別に、気になる訳じゃないよ。ムカつくだけ」
「そっかぁ、確かに単純バカって感じだよね~。」
「ぃゃ…そこまで言ってなぃけど…」
佳奈は澪の様子を見ると意味有りげに微笑んだ。
「大丈夫だよ!ムカつくなら澪ちゃんらしく触らないで!!オーラを出していれば♪クラス変わって気持ちがハイになってるだけだから、少ししたら飽きてどっか行くって」
「え??飽きて…。って別に気にしてないよ!さっきあんだけ言ったんだしもう明日から近付いてこないでしょ」
澪は佳奈に背を向けて言うと「鞄取ってくる」と保健室を出て行った。
佳奈も「あ、待って待って」と追い掛けた。
廊下はもう人も少なく教室には、人の気配すらない。
そこに澪の鞄だけがポツンと机に掛かっていた。
「当たり前だけど静かだなぁ。早く帰ろうっと」
澪が鞄に手をかけたその時、佳奈が思わず声を出した。
「あっ、澪ちゃん!…アレって…」
「え…?」
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