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今日から進級。
春だ。
周りは、暖かな雰囲気に包まれているが澪は二年になっても変わらず、だった。
「澪ちゃん!おはよ!」
「佳奈…、おはよ」
佳奈の挨拶に無表情で返し学校へと入っていく。
下駄箱前の掲示板には、生徒が溜まっている。
新しいクラスが張り出されているようだ。
「クラス換えか…、まっ、どこでも別にいいけど」
めんどくさそうに澪は、クラス発表の掲示板を見上げた。
知ってる名前に初めて見る名前が混じったクラス。
こんな感じか。
頭の中で、感想を呟くと新しいA組へと向かう。
教室には、既に勝手にそれぞれが席に座り、先生が来るまでの自由時間を楽しんでいた。
澪は、サッと見渡し一番人気の少ない前の席へ腰掛け、教科書を開いた。
友達と話してるのなんて時間の無駄。
ノートに、数学の問題を書き写していると机が暗くなった。
「へー!こんな時に勉強する人初めて見た!」
前には、茶髪の見るからにヤンチャといった雰囲気の男子生徒がノートを見つめていた。
「ねえねえ、なんで今勉強してんの?まだ授業じゃないよ」
男子生徒は、続けてこう言った。
澪は、正直うざかったが目立つのも嫌なので静かに答えた。
「勉強したいからしてるだけです。何か問題でも?」
澪の冷たい返しに、男子生徒はポカンと口を開けたままその場を去った。
引いたみたいね、まぁ…大抵はああなる。
澪は、再び顔を教科書に向けた。
その時、
バンッ
教科書の上にノートが置かれている。
そこには汚い字で数学だと思われる数式も書かれていた。
ナニコレ??!
澪がマジマジとノートを見ていると
「俺にも教え~て♪」
明るい声が教室中に響いた。
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