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男子生徒は、元気いっぱいに片手をあげるとそう言った。
「え?・・・いや、出席番号なんて聞いてないわよ!!名前よ名前!」
元気な声に対して澪の声も若干大きくなる。
「名前?あっ、そっか~♪俺、陽亮!齋木陽亮。よろしくね。」
澪を見てニッコリと微笑むと陽亮は椅子に跨り再びノートに顔を向けた。
「ほら、俺名前言ったよ?あんたは何さん?」
「私は…澪」
「澪?、澪ちゃん?澪」
「何回も呼ばないでよ恥ずかしい。」
澪は周りがこちらを見ていることに気付き小声で言った。
陽亮は何が?と言う感じで澪を見ている。
今まで佳奈以外にこんなに親しく接してきた人はいなかった。
予想だにしない出来事で澪は頭の中は限界だった。
そして…
ガタッ‐
「ぁ…ちょっと」
教室を飛び出した。
‐女子トイレ‐
「…っっはぁーーっ!!なんなの。なんなのよアイツは、馴れ馴れしく話しかけてきてっ!!どうせまた…っ…すぐ飽きる癖に…」
澪は俯く。
もうあんな思いはしたくない。だからこそ人を寄せ付けないように過ごしてきたのに。
「…よし。アイツは無視。近づかない。」
澪は鏡を見つめ頷く。
その時、予鈴が鳴る。
「あ、行かないと。」
パタパタと小走りで教室へ向かった。
ガラガラ‐
教室へ入ると、既にみんな座っている。
「すいません。今座ります!」
澪は空席を探した。
「澪ちゃ~ん!ここ、あけといたよ♪」
「…ゲッ…」
小さい声で呟く。
なんでよ、もう…
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