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「ほら、早く座りなって」
澪は他の空席を探したが既に埋まっている。
肩を落とし渋々陽亮の隣に座る。
「改めてよろしくね!澪ちゃん♪」
陽亮は手を出してきた。澪は手を見つめると反対方向に顔を向けた。
要は無視したのだ。それを見ていた他の女子生徒からは「うわぁ、感じ悪」とボソボソ聞こえてきた。
澪はそんな言葉には慣れていた。
が、隣で子犬みたいに見つめてくるソレには慣れない。
見ない見ない見ない。
澪は、目をギュッと瞑り顔を背けていた。
その時、澪の手だけが体と反対方向に強制的に引っ張られた。
「えっ?」
グイッと手に連動して体もそちらを向いた。
「よろしくねって言ったんだからちゃんと返さないと駄目だよ♪ねっ?」
陽亮は、両手で澪の手を握る。そしてギュッと力を入れた。
澪はポカンと口が開いた。
周りもポカンとした。
「…何すんのよ!返したでしょ!さっきの態度が返事よ。よろしくしない」
「なんで?」
「え・・・」
あまりに真っ直ぐな返答に一瞬固まる。
「…なんでって…なんでもよ!」
澪は訳のわからない子供みたいな答えしか出来なかった。
「なんでもって…みっ」
陽亮が答えてる途中、ついに中断に入る声がした。
「お~い、そろそろHRやりたいんだけどいいかぁ?お二人さん」
担任教師からの一言に澪はハッと我に帰る。
「すみませんでした。大丈夫です。始めてください!」
またアイツのペースにハマっちゃった。本当にやだもう!
澪は、気持ちを仕切り直し前を向いた。
「澪ちゃ~ん…」
小さく陽亮の呼ぶ声が聞こえた。
しかし澪は前を向き担任の話しを聞き続けた。
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