高校二年

5/11
前へ
/15ページ
次へ
「ほら、早く座りなって」 澪は他の空席を探したが既に埋まっている。 肩を落とし渋々陽亮の隣に座る。 「改めてよろしくね!澪ちゃん♪」 陽亮は手を出してきた。澪は手を見つめると反対方向に顔を向けた。 要は無視したのだ。それを見ていた他の女子生徒からは「うわぁ、感じ悪」とボソボソ聞こえてきた。 澪はそんな言葉には慣れていた。 が、隣で子犬みたいに見つめてくるソレには慣れない。 見ない見ない見ない。 澪は、目をギュッと瞑り顔を背けていた。 その時、澪の手だけが体と反対方向に強制的に引っ張られた。 「えっ?」 グイッと手に連動して体もそちらを向いた。 「よろしくねって言ったんだからちゃんと返さないと駄目だよ♪ねっ?」 陽亮は、両手で澪の手を握る。そしてギュッと力を入れた。 澪はポカンと口が開いた。 周りもポカンとした。 「…何すんのよ!返したでしょ!さっきの態度が返事よ。よろしくしない」 「なんで?」 「え・・・」 あまりに真っ直ぐな返答に一瞬固まる。 「…なんでって…なんでもよ!」 澪は訳のわからない子供みたいな答えしか出来なかった。 「なんでもって…みっ」 陽亮が答えてる途中、ついに中断に入る声がした。 「お~い、そろそろHRやりたいんだけどいいかぁ?お二人さん」 担任教師からの一言に澪はハッと我に帰る。 「すみませんでした。大丈夫です。始めてください!」 またアイツのペースにハマっちゃった。本当にやだもう! 澪は、気持ちを仕切り直し前を向いた。 「澪ちゃ~ん…」 小さく陽亮の呼ぶ声が聞こえた。 しかし澪は前を向き担任の話しを聞き続けた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加