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見渡す空
雲一つ無い
無限に広がる空
その中で輝く、
あたたかくて眩しい太陽
“夏芽は太陽になるんだよ”
父の昔に言っていた言葉
当時の僕は理解出来ずにいたけれど
今は何となくわかる気がする
********
「…ね…ねぇってば」
「あ、ごめん、何?」
「教科書みして」
「え、あぁわかった」
「さんきゅ」
え…笑った
教科書を見せろと言う男は
ニコッと笑顔で礼を言う。
不思議とその笑顔に吸い込まれていく
まるで太陽みたいな優しい笑顔。
********
僕のお父さんは、僕が高校生になった時に仕事の関係で日本を出ることになった。
唯一頼れるお父さん。
母親は陰で僕に虐待をし続け、それに気付いた父親は離婚を決意した。
それ以来父親は一人っ子の僕にたくさんの愛情を注いでくれた。
日本を出るとなった父親は僕に言葉を残していった。
“夏芽、お父さんが居なくても夏芽なら大丈夫だよ。夏芽は太陽だからね。”
********
…キンコーン
授業終了のチャイムでレム睡眠から目覚める
「教科書ありがと」
「あ、うん」
「ふふ、寝顔天使みたいだった」
「え…。」
「アハハ、爆睡はダメだよ~」
「あ…うん」
「寝ぼけてる?
夏芽…って呼んでも良い?」
「寝ぼけてないよ。いいよ別に」
「じゃあ俺の事は夢叶って呼んでね!
じゃあまたあとで~」
「うん…って……」
行っちゃった…
接し方に苦戦しつつも
しっかりと彼の笑顔だけは見落とさなかった。
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