2/4

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「寒いな。」 吐き出した白いモノが、煙なのか息なのか。 俺はコートのポケットに手を入れ、肩を竦めながら歩いていた。 くわえた煙草は、まだ寿命が残されているみたいで、自らを燃やし続ける。 この道を歩き始めて、どれくらいだろうか。 振り向いてみる気も、もう萎えてしまった。 ふと、何故こんな事をし始めたのかを自問してしまった。 「酔狂な事だがね。」 声を出しても、何も返ってきはしない。 理由なんて、大したモノじゃあない。 良くある話だ。 高校まではグループの中心だった奴が、遠くの大学で孤立する、だの。 会社に貢献してきたのに、今じゃぁ窓際族だの。 長年つきあって、同棲していた恋人に突然別れを告げられた、だの。 まぁ、不幸話は、いくらでも思いつく。 君も、そうだろ? 道すがらの受験生らしき、に心中問いかける。 是も非も、ない。 まぁあたりまえか。 随分と命を削った煙草を大きく吸い込み、俺は海を眺めた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加