3/4
前へ
/28ページ
次へ
びゅうぅ、と冷たい風が吹き抜けた。 まるで置いてけぼりになった気分だ。 先程考えた自問は、どこかに消えてしまった。 理由なんかは、考えた所で仕方がないんだろう。 思いつかないだろうし、よしんば思いついたとしても、下らないだろうから。 「やぁ、こんな所で何をしてるんだい?」 やたら青白い彼女に語りかけた。 何の疑問も不信感も抱かなかった。 「あなたは?」 冷たい声。やたらと澄んだ声だ。 「散歩、かな。」 「そう。私は、待ってるの。」 「何をだい?」 「春。」 ああ、そうか。痛んでいるんだな、脳が。 「そうか。それならもう少し待つと良い。」 俺はそう告げて、その青白い彼女から去った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加