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「何処にきてしまったんだろうか。」
確かに迷い込んだ。
ここまでは、ずっと海岸沿いを一本道。ただまっすぐ歩いていただけだ。
だが、確かに迷い込んでいた。
「…全く。」
落ち着くために、煙草を大きく吸い込む。
勢いよく全てを吐き出すと、気分も少し落ち着いた。
周りを見渡す。
変わらない景色。変わらない音。
変わったのは、僅かにしか居なかった、通りすがりだ。
皆一様に、青白い。
まるで彼女のようだった。
「海岸沿いを歩いていたら、彼岸にでも出てしまったかな。」
皮肉にしても、冗談にしても、笑えそうもない。
しかし、俺は足を止めるつもりはなかった。
すでに歩き続ける事が目的のようだ。
それに、このままここにいても仕方がない。
また一つ大きく煙草を吸い、足を踏み出した。
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