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人。人。 行き違う人々の青さは、薄暗い空と海の代わりを果たすように、ただ其れ等を増していた。 くわえた先から立ち上る煙がやけに近くなり、其処を眺めた。 さっき新しいモノに火をつけた筈なんだが…、随分と早くなくなるものだ。 そんな事を思考の端に追いやり、前をむき直したときだ。 「やぁ。久しぶり。」 見知った顔が其処にいた。 ただし、例に漏れず彼もまた、道すがらと変わらない青白い存在だった。 「本当に久しぶりだな。どれくらい経ったかな、あれから。」 俺の言葉に、彼は空を見上げ、ほほえみを浮かべたまま、 「多分、3年くらいかな。」 「そんなもんだったか?」 「わからないや。多分、それくらい。」 慣れ親しんだ口調に、俺はメランコリィな気分を堪能していた。
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