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「相変わらず、煙草はソレなんだね。」 彼の言葉に、俺は胸ポケットから黒地に銘柄が書いてあるだけの箱をのぞかせた。 「別段、銘柄なんてものは変える必要もないからな。」 「あまり強いのはオススメしないよ。」 苦笑。そして彼もまた、胸ポケットから箱を取り出した。 俺のソレに比べると随分と薄く長い形状から出てくるのは、またやけに細長い煙草だ。 「メンソールなんか吸ってると、不能になるぜ?」 「それは迷信じゃないんですか?」 「さぁな。」 シュボッ。 小気味の良い音だ。レトロなライターの火口から太めのオレンジが揺れて、紙筒の先に火をともした。 「相変わらずの趣味だな。」 懐かしむ気持ちと言葉を吐き出す。 「レトロ好きですからね、僕は。」 互いに煙を吐き出し、波打ちの音に空間を支配させた。 俺は少しだけ痛む頭を掻き、吐き捨てるように告げた。 「アイツも変わりなくやってるか?」 彼は微笑んだまま、煙を吐き出して頷いた。 「なら、まぁいいさ。」 俺はまた、止めていた足を動かした。 彼の脇を抜け、久しぶりの邂逅に終わりをだした。 「グッナイベイビー。さっさと成仏しな。」 青白い彼は、ふっと消えていった。 俺はその時を背中で見送った。
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