[私は のら子]‐①‐

2/11
前へ
/565ページ
次へ
のら猫の家に生まれたネコ……私は、のら子。 死ぬのは恐怖だ……だけど、私は死ぬだろう。 人間でも生まれた時から、死ぬというゴール最期に向かって生きている。 私のお話を聞いてくれますか!? 私のら子の家は、白川の橋の横でした。 私その橋の横……草花に囲まれ生まれたの。 私が生まれた時、父はいない家庭環境だった。 母と兄そして私の三匹の暮らしで、あまり裕福ではなかった。 でも、振り返ってみると……とても幸せな時間・場所だった。 私の母は、古川町商店街の魚屋に行くのが日課……魚のアラをもらって来るの。 魚のアラを食べ終わると、お乳をあたえ私の体をなめながら教えてくれます。 「お母さんも野良で苦労した。あなたたちは、のら猫七代目!!だけどね、幸せになるのよ」 そんな平凡な暮らしをしていた頃、集中豪雨が突然降り出し川に鉄砲水が流れ込みました。 あっという間に、兄と私は川にのみこまれ流されたわ。 母は川に飛び込み、私の首をくわえ川岸にたどり着くのが精一杯だった。 その後、兄と会えない日々が続き……母と一緒に泣いたものです。 母は、厳しく教えるようになりました。 「のら子やぁ、鉄砲水も車お化けも怖いけどね!!もっと怖いのは人間だよ……猫の皮をはる三味線を作ると聞いたからねぇ」
/565ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加