[私は のら子]‐①‐

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私は、一晩中泣いて泣いて寝ずに朝をむかえたわ。 橋の横の家に帰ると、母を思い浮かべるので地元を離れました。 その日から、私は独りぼっちの猫……野良になったの。 この世の中は、地獄なのかな!?極楽なのかな!? 人間は、怖いのか!?優しいのか!? その時の私には、理解できなかったの。 人間の子供たちってさ……木の枝を持って追い払う子供もいれば、パンや牛乳をくれる子供もいるんです。 春になり桜が咲く頃、野良の私にも彼氏ができて嬉しかったわ。 彼氏の名前は、ポンタ……男前で立派な鈴をつけた飼い猫だった。 ポンタとのお付き合いは、楽しかった。 何気ない会話も心が弾み、夢のような時間だったわ。 ポンタの家は豪邸で、おばあちゃんと裕福な暮らしをしていた。 そして、プロポーズしてくれる。 「おばあちゃんは優しいし、冷暖房完備の広い部屋ごちそうの御飯もあるし……一緒に暮らさないか??」 「私……」 返事ができない……できなかった。 人間は怖いと教わったから、やっぱり怖いの。 母の命を奪ったのは、車お化けと人間よ。 おばあちゃんと一緒に暮らさないと決めた。 でも、部屋にあがらず外で会っていた。 ポンタと楽しく過ごしていたら、妊娠したの!!ポンタの子よ。 それはそれは嬉しくて、ポンタに打ち明けました。 でも、駄目だった……喜んでくれると思っていたのに。 ポンタは裕福な暮らしを捨てて、野良になるのは無理だった。 「外での暮らしは怖いし、御飯はないし……」 ポンタの言葉に涙ぐむ私がいた。
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