[私は のら子]‐①‐

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住む世界が違うポンタが幸せならいいと自分に言い聞かせ……私は故郷の橋の横に帰りました。 運命っていうか不思議ね……母と同じように橋の横で産むことになり、のら猫八代目の赤ちゃんを幸せにするって心に決めたの。 出産は満月の夜だった!!独りぼっちで寂しかったけど、赤ちゃんが産まれた時に今までの苦労がどこかに消えたの。 亡くなった母も、こんな気持ちだったのかなぁ。 私は、娘に【のらえ】息子には【のらすけ】と名付けたの。 子育ては、本当に大変だった!!子供に食べさせるだけで、私の一日は終わるのよ。 母がお世話になりました商店街の魚屋に行き、よく魚のアラをいただきました。 たまに、チクワを投げてくれる。 「おーい!!こっちにおいで」 魚屋の御主人は、優しく声をかけてくれる。 「困った時は、いつでもおいで……何かしらのアラはあるから」 その頃の私は、誰にも心を閉ざし信用なんてしない。 でも、魚屋の御主人は特別だった!!唯一信用し心を開いた人かもしれない。 でもね、優しいけど人間よ……私は近寄ることができなかった。 魚屋の御主人に抱かれなかったし、頭をなでられたこともなかったわ。
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