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 何か、何かないものか。この鳥兜寮から抜け出すための方法が。  直接的な手段でなくともよい。それに繋がる、何らかの糸口はないものなのか。 『……どうやら皆様、この場所での一生を受け入れられないようでございますね?』  あっけらかんとした口調のトリカブト。  だがここでの一生など、受け入れられるはずがない。血の通った人間ならば、そう考えるのは当然だ。 「あったりめえだろ! 何で俺がこんなとこで生きてかなきゃいけねえんだ!」 「そーだよ。こんなの……酷すぎるでしょ!」 「あたしも、認めるわけにはいかないヨ。こんな場所で一生過ごすなんテ」 『ふうむ』  敵意にも似た視線が集中する中、トリカブトは思案するように鼻を鳴らす。 『そんなにここから出たい、とおっしゃるのであれば、方法がないわけではありません』  瞬間。先ほどまでの喧騒が嘘だったかのように、広間全体が静まり返った。  今、奴は何と言った?  方法がないわけではない、と。確かに、そう言わなかったか。 『先ほども申し上げました通り、ここから出るには契約を破棄する必要があります。しかし当然のことながら、ここにいる限り、あなた方にそれを実行するすべはありませんし、私も実行する気はありません。ですがそれでは少々不公平のようですから、譲歩させていただこうではありませんか』
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