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「ま、だいたい目星もついたし。そろそろ戻らせてもらうかな」  もといた西棟に戻ろうとする苗代。  しかし、加納が道を阻んだ。 「あっちには安田さんが寝ている。行かせるわけにはいかない」 「あー、めんどくせえなあ、あんた。だったら、あんたもついてくりゃいいじゃねえか」 「……安田さんだけ、回収させてもらうことにする」  加納は数秒逡巡した後、苗代を先に行かせてその後をついて行った。  二人の姿が見えなくなるまで、俺達は安心して呼吸することもできなかった。  そして、彼らが闇の中に消えた途端……場は騒然となった。 「ちょっとちょっと、どうすんのさ。あの苗代とかいう奴、もう目星はついたとか言ってたよ!?」  両手で頭を抱えながら、ヒステリー気味に言ったのは、石川。 「ぼ、僕は嫌ですよ。あんな男に目をつけられた上殺されるなんて、まっぴらごめんです」  青ざめた顔で、かたかたと体を震わせる佐藤。 「あたしだって嫌だヨ。こんなところで死ぬわけにはいかないシ!」  腕を組んで、顔に焦燥を露にして言うニーネ。  奈々尾は一人になりたいのか、再び大階段の所に座り込み、弓坂は倒れた榎戸を介抱し、茶天は顎に手を当てて、何やら深く考え込んでいるようだった。  俺はそっと紅の方に寄って、彼女に小さく声をかける。
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