カボシャン党の蜂起

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                彼の名はジル・ド・レ。ギー2世・ド・ラヴァル=レとマリー・ド・クランの息子である。父はブルターニュ地方きっての名門貴族たるラヴァル=モンモランシー家の生まれで、同じくブルターニュ地方の名門貴族たるレ家の名跡を継いでいた。母はラ・シュズの領主ジャン・ド・クランの娘である。クラン家は第2回十字軍に従軍したテンプル騎士団第2代総長ロベール・ド・クランにまで遡れる有力豪族であった。  「では、続いて古典の講義を行うと致しましょう。」  フォントネはそう言って、用意してきた古典の書籍を机の上に置こうとしたが、廊下から聴こえてくる何者かの足音に腕を止めた。それを見て、ジルとボサックは耳をそばだてた。  足音は次第にジルの部屋へと近づき、やがて部屋の前で止まった。
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