マシュクールの蒼天

5/9
前へ
/30ページ
次へ
                城内から出てきたのは顎に髭を蓄えた男──フランス王国元帥ジル・ド・レと、その従者4人であった。  「30人……といったところか。」  ジル・ド・レは眼前の騎馬隊を眺めながらそう呟いた。  「ウスターシュ。」  暫時の後、ジルは従者の司祭の名を呼ばわった。  「神に仕える身であるお前を最後まで神に背かせ続けた事、本当に申し訳なく思っているぞ。」  ジルは司祭ウスターシュ・ブランシュにそう詫びた。  「御主人様。どうか謝られないで下さい。最終的に神に背く道を選んだのはこの私なのですから。」  禿頭の司祭は詫びる主人にそう言った。 「此方には200人の親衛隊がおります。奴等など恐るるに足りません。今からでも遅くはない筈、徹底抗戦しましょうぞ!」  徹底抗戦を主張するウスターシュの手にはモーニングスターが握られている。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加